ダン・ブラウン『天使と悪魔』

天使と悪魔(下) 天使と悪魔(上)
ダ・ヴィンチ・コード』のロバート・ラングドンシリーズの前作。
宗教と科学、物質と反物質、という相対するものをテーマにした作品。
“秘密結社”イルミナティがセルン(欧州合同素粒子原子核研究機構:実在)から、都市ひとつを壊滅させてしまうという反物質のサンプルを持ち出して、コンクラーベ最中のバチカンへ。呼び出されたラングドンイルミナティに捕らえられた枢機卿を助け、反物質の対反応からバチカンを救えるか?タイムリミットは深夜0時!!
という内容。
 
とっても面白いです。わずか24時間のドラマの中に、数々のシーン。大どんでん返しが待ち構える結末。最初っから映画を意識して書いている*1としか思えません。
なぜに次作『ダ・ヴィンチ・コード』があんなにだらだらした展開になってしまったのか、残念。
ダ・ヴィンチ』で「ダン・ブラウンなんて…」と思った人は、こっちを読んでみるといいです。あれほど宗教的思想にこだわってないし*2
 
相変わらず、老人の全裸死体とか、ストイックな暗殺者とか、古文書の暗号とか、地下組織とか古代遺跡とか出てきます。
アンビグラム(180°回転しても同じに読める飾り文字)とかの仕掛けも面白かったし、やっぱりラングドンは惚れっぽいし(笑)
振り返ると、「ダ・ヴィンチ…」はこの作品を、もっとわかりやすい美術品にリメイクして話題性演出したのではないかと思えてしまいます。そのくらい設定や展開は似ています。

*1:コロンビアが映画化権を獲得しているとも

*2:でも、キリスト教がテーマなんですけど